
2016年5月25日、日本IBMは、革新的なアプリケーションの開発を目指す企業向けに、短期開発を支援する「IBM Garage」を同日付けで開設したと発表した。IBM GarageではIBM Design Thinkingという手法により2日間のワークショップで開発するアプリケーションのアイデアをまとめ、続く6週間で検証のためのプロトタイプ開発およびテストを行ったのち、次の13週間で実用アプリケーションの開発と本番環境への無停止での実装を行うというもの。IBM Bluemixを活用し、IBM東京基礎研究所を含むIBMリサーチとの連携などにより、アジャイルなDevOpsによるアイデアの検証と開発を支援する。参考の料金としては検証までの6週間が2000万円から、13週間の実装までで4000万円からとしている。
IBM Garageはすでにアメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、フランスの各地に開設されており、日本は6カ国目となる。海外では銀行やゲーム小売り、生命保険向けモバイルアプリ開発などの実績がある。

ブロックチェーン技術の検証と導入を強力に推進
日本のIBM Garageの最初のテーマとして、ブロックチェーン技術の企業システムへの適用可能性の検証やアプリケーション開発を支援する。ブロックチェーンが一躍脚光を浴びるきっかけとなったBitcoinでは、分散管理による中央機関の否定、完全匿名、送金情報の公開などをポリシーとしているが、金融機関にブロックチェーンを適用する場合、個人の特定、取引内容の秘匿、セキュリティの徹底、大量トランザクションへの対応、権威ある中央機関など、Bitcoinにはない機能が要求されるという。IBMは非営利団体であるLinux Foundationが提唱し、IBMも参加しているブロックチェーンのプロジェクト「Hyperledger」に対し4万4000行のコードを提供した。IBM自身がOSSとして進めてきたブロックチェーン技術「Open Blockchain」(こちらもコードを公開済み)は最終的にHyperledgerに集約し、これら金融機関などが要求する分散台帳システムの構築に活用するという。
IBM Garageのブロックチェーンサービスについて発表する日本IBM グローバル・ビジネス・サービス事業 金融トランスフォーメーション アソシエイト・パートナーの高木隆氏
[Hyperledgerプロジェクト]
Linux Foundationが中心となりIT企業と金融機関が独自技術などを持ち寄り、大規模ビジネスに対応できるブロックチェーン環境を開発しようとするオープンソースプロジェクト。IBMのほかAccenture、Cisco Systems、富士通、IC3、Intel、VMware、R3、ANZ Bank、CLS、Credits、ロンドン証券取引所、ドイツ証券取引所、Digital Asset Holdings、DTCC、J.P. Morgan、三菱UFJフィナンシャル・グループ、State Street、Wells Fargo、国際銀行間通信協会(SWIFT)などが参加している。